「ネタバレ前回で追憶の航海の感想を行こうか」
「ふーん。それでどうなの?」
「実は【新解釈】がかなり入っているので、テレビの2199と同じではない」
「だからダメ?」
「いや、そこがイイ」
「えー。じゃあどこが違うんだよ」
「以下は一例だな」
- メルダが来る前は、ガミラス人の出番が無い。つまり、観客も最初に見るガミラス人はメルダ
- ゼーリックにあった善人に解釈できる要素は完全に取り除かれている。ゼーリックは100%悪い人
- ゲールのゼーリック派と認識できる要素は全て削除され、単純に普通のガミラス人として【要人が来たから歓待したけど、デスラー暗殺犯なら逆賊だよ】という解釈になっている
- 同様に、ゲールの総統ラブラブ要素も取り除かれている
- ガトランティスという要素は完全に取り除かれている。薮も含め、単純に収容所の囚人達という解釈 (つまり、薮は薮ではなく2等ガミラス)
- 悪役としてのギムレーが強化されている。下手をするとデスラー以上の大悪党
- スターシャは、悪女と解釈できる要素が除去されていて、単純に肝っ玉が有座った強い女という解釈になっている
- 物語はコスモリバースを受け取った時点で終わる。帰路の物語は無い。沖田の死と地球の再生はエンディングで語られる。そこは物語の本質ではない
- UX-01はなんら特別な船ではない。フラーケンも特別なキャラではない
- EX178撃沈に関する政治的な要素は無い。単純に、敵と助け合ったことで撃沈されている
- どちらが先に戦争を仕掛けたのかという水かけ論は取り除かれている
- TVシリーズは【説明→導入→結末】のパターンが多いが、この映画は【導入→説明→結末】のパターンが多い。場合によっては説明が無い
- ガミラスは統治に成功している発言が消えて、蜂起が相次ぐという発言が残って、結果として国家運営が上手く行っていない帝国になった (→その結果、ギムレーが力でねじ伏せる方法で国家を収めるしかなく、デスラーは思い通りにならない世界を破壊してしまいたい。デスラーがガミラスを撃ちたがる理由の根拠付けになっている)
- オルタリア蜂起の鎮圧は、チマチマと機銃で民衆を撃つような描写は消えて、圧倒的な力でねじ伏せている解釈になっている
- 反乱は重要度、深刻度が下がっている。沖田の「ばっかもーん」で全てが収まる、誰も営倉に入らない。ここは本来古代のワープゲート発見の方が重要。島の【自分にも責任】発言から、そのままゲートに話が繋がる
「全般的に言えばどういうこと?」
「そうだな」
- 情報の整理が上手い。どうせ観客が2時間前後で受け取る情報量などたかが知れている。多くを語ったら負け。最低限伝えたい部分に上手く絞り込んだ
- 特に2つの話が同時に走っている場合は、明確な強弱を付けるか、あるいは片方を取り除いている
- 単に情報量を減らしているだけではなく、スムーズに流れるように工夫してある
「つまり、一言で言えば【上手い】ということだね」
オマケ §
Subject: 感想・最速上映で見るヤマト2199「追憶の航海」は神業演出だった
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20141011013618
名前: トモネコ
本文:
「追憶を観て来ました!」
お疲れ様ですm(__)m
私も今日、追憶を新潟で一か所の劇場まで行って来ました。
大胆な編集に驚きましたが、単にダイジェストにしなかった事は正解だと思います。
萌え、要素の排除は観ていてストレスがありませんでした(嬉)
しかし、事前の情報では古代視線との事だったのでもっと、古代のナレーションが多いと思っていたのですが、それほど多くありませんでした。
私は初めて劇場で2199を観る事が出来劇場限定ソフトを購入でき幸せでしたヽ(^o^)丿
地方では私のような方は多いと思います。
劇場版には感謝です!
どうせなら、方舟の予告公開も、もう少し先にしてもらい、衝撃の予告は劇場で観たかったです。
(公開初日が勝負で話題作りとは思いますが..)
「方舟の予告、最新版はどっかで前夜祭での上映後が初公開だと読んだような気がするので、そういうものだと思っていたら、その日の昼間から公開されていてがっかり。もちろん見ないで劇場に行ったよ」
「それで?」
「予告編を公開するタイミングはもうちょっと工夫しても良かったと思うよ」
Subject: 感想・最速上映で見るヤマト2199「追憶の航海」は神業演出だった
Keyword: 【▲→トーノZERO→アニメ感想→宇宙戦艦ヤマト】
URL: http://mag.autumn.org/Content.modf?id=20141011013618
名前: めとろん
トーノ様 こんばんは。
私も本日第1回上映を観て参りました。
トーノ様が仰る様に、総集編としては出色の出来栄えだったと思います。
ここが監督の腕の見せ所だったのかもしれません。
古代守、山本玲、その他パフェや水着、女子会等を整理して、かなりスッキリした(笑)印象があります。
ゲール君はもっと出るかと思いましたが、たぶん「追憶の航海」ではゲール君は最小限にしないと焦点がバラけてしまうのでしょうね。
「星巡る方舟」への導入部としては上出来だったと思います。
ところで、小さい子供たちにもヤマトの布教を...と思い、柏の葉MOVIXへもひそかにメカコレを3個ほど持って行ったのですが、ほとんど自分と同じヤマト1974世代単独客ばかりで渡せませんでした。
「普通のアニメだとね。【俺達は女の子が見たいんだ。男を見ておまえは嬉しいのか?】と言われるところだが、女性キャラの出番を削って誉められる希有なアニメだろうね」
「でも、それで正しいわけだね?」
「当然だ。普通の萌えアニメの女の子は、実際には【女の子の模倣物】でしかないからだ。森雪の魅力を高めるために、他の女の子の出番は削って正解だ」
「新見の出番は多くていいの?」
「あれは、森雪の裏だ。泥臭くのたうちまわる新見を描くことで、森雪がより強調される」
「布教に関してはどう思う?」
「新作を上映する映画館はグッズが溢れているから、全く配布には向かないと思うよ。子供の比率も低いと思うし」
「なんてこった!」
【導入→説明→結末】 §
「これは劇場版ロックマンエグゼ 光と闇の遺産でも使われていたテクニックだけどね。ともかく状況を進める。説明は後から付いてくる。いくら説明を求めても【後にしてくれ】と言われるだけだし、建設中のハイウェイに連れて行かれる理由は、相手の当人が出てくるまで分からない」
「それは独特の技法?」
「いや。よくある演出手法」
「どこがどう違うんだ?」
「説明が先にあると、理屈っぽくなるし、結末が読めてしまって退屈してしまう可能性もある。しかも、短い映画ではくどくど事前に説明する時間が無い。とすれば、説明が後から付いてくるしかない。説明が後なら、それほど時間は掛からないからだ。特に光と闇の遺産では上映時間が短いからこのテクニックが有効に活用されている。追憶の公開も2時間超で長いように見えて、実は個々のエピソードに割ける時間は短いので、大差ない」
「それは何を意味するんだい?」
「演出理論をきちんと学んだ上で自分の血肉にしている人が、それを目の前にある作品に惜しみなく注ぎ込んで作っているのだと思うよ」
「TVシリーズは違うのかい」
「あっちは、個々のスタッフのヤマト愛が暴走しがちで、個々の描写としては良くても、全体として見た時にバランスを欠いている箇所があるのさ」
「愛じゃ文句も言えないね」